チュードル オイスターデイト クロノグラフ ファーストモデル

チュードル オイスターデイト クロノグラフ ファーストモデル

今回は、長く続くチュードルのクロノグラフモデルの歴史を、少しだけ紐解いてみたいと思います。
まず初めにご紹介する時計は、非常に珍しいモデルです。
私も、まさかこの状態のものを目にすることが出来るとは思っておりませんでした。

チュードルの「オイスターデイト クロノグラフ ファーストモデル(通称:ホームベース)」です。
腕時計に詳しい皆様は、こちらのモデルが如何に希少価値の高いものかをよくご存知かと思います。
オイスターデイト クロノグラフのファーストモデルは1970年代初頭に発表されました。

この頃の日本は、1964年に開催された東京オリンピックの影響もあり、「消費社会」の真っ只中でした。
消費が人の優劣を分けていたこの時代、古くなったものや壊れたものは修理するのではなく、買い替えることが常識でした。 そのため、この年代の物が現在まで残っていることは、それだけでも珍しいことなのです。

さらに、その中でもこちらの「オイスターデイト クロノグラフ」は、購入者が少なかったと予測されます。
この頃のチュードルは「ロレックスの廉価ブランド」という印象が強く、わざわざチュードルを選ぶ人は少なかったのです。
また、今でこそ大きいサイズでも一般的になりましたが、小さい時計サイズが一般的な世の中では、大き目サイズの時計は、当時のニーズに合わなかったのです。

今ではプレミアが付き、人気のモデルになりましたが、当時はあまりにも革新的過ぎたため、僅か1年程度で生産終了となりました。
時代背景の特殊さ、生産期間の短さ、需要と供給のバランスなどが重なり、「オイスターデイト クロノグラフ ファーストモデル」はとても希少な逸品となりました。

こちらの固体の価値は、それだけではありません。
ベゼル部分には「ベークライト」というプラスチック素材が使用されています。
ベークライトは人類が初めて作ったプラスチックとして知られています。

現在のプラスチックのような強度がなく、ひび割れや傷など、劣化の影響を受けやすい素材なのです。
そんなベークライトのベゼルが、このように良い状態で残っていることはまさに「奇跡」なのです。
さらに、「ホームベース」と呼ばれている所以である特長的なインデックスには、夜光塗料のトリチウムが使用されています。

ベークライト同様、年代が経つと劣化しやすく、よく夜光落ちしている個体を見かけますが、こちらは、非常に綺麗な形で残っていますよね。
おそらく、ここまで良いコンディションで残っている固体はほとんど存在しないでしょう。
そんなファーストモデルの後継機として発表されたモデルがこちらです。

青ベゼルのモデルは、ファーストモデルと同じくベークライトが使用されています。
こちらの固体も非常に良い状態で保存されていますよね。
ご紹介している通り、これらのモデルはほとんど世に出回っておりませんが、初期デザインを復刻したモデルが発売され、現在でも人気を集めています。
チュードルのクロノグラフモデルといえばこちらも有名です。

ご存知、クロノタイムは1976年に発表されました。
先ほどのオイスターデイトと違い、クラシカルなデザインが印象的なモデルです。
特徴は、なんと言っても「かまぼこケース」。

発表されてから近年まで大きなデザイン変更が行われておりませんが、生産時期によってインダイアルの文字がブロック字になっているものや、あるべきところに盾マークが無いチュードルロゴだけの仕様もあります。

このようなマイナーチェンジは、腕時計ファンにはたまらない魅力のひとつですよね。
多くのファンを魅了してきたクロノタイムですが、残念ながら2005年前後に生産終了となってしまいました。
皆様の中には復刻を心待ちにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

1970年代だけでも、チュードルは様々なクロノグラフモデルを発表し、挑戦と変化を繰り返してきました。
その挑戦は現在も続いており、常に私たちに驚きを与えてくれます。
そんな長い歴史の始まりである「ファーストモデル」がここにあるというだけでとても誇らしく感じています。

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